1: 田杉山脈 ★ 2018/11/07(水) 23:23:30.97 ID:CAP_USER.net
大企業の動向は一般的に大きな注目を集めるものだが、アップルにも当然この法則が当てはまる。同社の四半期決算はいまや、テクノロジー産業どころか株式市場全般の行方を占う指標とみられている。

もちろん7~9月期の決算も大きな騒ぎになった。アップルの時価総額は8月に1兆ドル(約113兆円)を超えたが、その戦略の主軸は市場シェアを伸ばすことから、ハイエンド製品の展開へと移りつつある。この傾向は決算発表で語られたことからも明らかだ。

もちろん、「iPhone」と「iPad」、ノートパソコンやデスクトップパソコンなども加えて、販売台数が驚くべき数に達していることは事実だ。7~9月には実に4,689万台のiPhoneを売り上げている。しかし、この数字は1年前から横ばいで、さらに市場予想はわずかに下回った。

販売台数を非公開化することの意味
一方で、iPhoneの平均販売価格(ASP)は、市場予想の750ドル(約8万4,900円)を大きく上回る793ドル(約8万9,700円)を記録している。このままの勢いで伸び続ければ、今期のASPは1,000ドル(約11万3,100円)近くに達する可能性もある。これがアップルの収益に重大な影響を及ぼすことは、会計士でなくても簡単にわかるだろう。

投資家やアナリストの注目を集めたのは、アップルが今後は四半期の販売台数は公表せず、販売高のみをデータとして出す方針を明らかにしたことだ。投資家としては納得できない決定で、専門家の間では、アップルには「何か隠すことがある」という憶測も飛び交っている。

そうかもしれない。過去にアップルで透明性という企業文化が育ったことはない。スティーブ・ジョブズはその度を越した秘密主義で有名だった。ティム・クックが最高経営責任者(CEO)になってからは多少は改善したものの、同社が「説明責任」という概念を受け入れることはまれだ。

販売台数を非公開にするという今回の決断は、過去10年にわたってiPhoneの販売台数と平均単価の両面から業績を評価してきた投資家たちにとって、懸念材料となる。ただ、アップルは自己評価の基準として、ウォール街ほどにはこの数字を重視していないようだ。

iPhoneの最新モデルのラインナップから考えれば、アップルは販売台数よりも価格、ひいては利益を重視している。iPhoneの基本的な機能と同様の技術が、はるかに低価格な他社のスマートフォンにも搭載されるようになったいまでは、当然の戦略転換だろう。最大のライヴァルであるサムスンだけでなく、LG、ファーウェイ、シャオミといった中堅メーカーも、非常に優れたデヴァイスを出している。

途上国で落ち込むシェア
アップルは中国だけでなく、スマートフォンの普及が始まったばかりの新興市場でもシェアを失いつつある。例外はタブレット端末で、iPadはいまだに他社製品の追随を許していないが、タブレットがデスクトップやノートパソコンの代替品として受け入れられるかは未知数だ。

だからこそ、アップルは基本に立ち返ることにした。つまり、半分だけ解放された(もしくは、ほぼ閉鎖的とも言える)サーヴィスのエコシステムを構成する要素として、コモディティ化された製品を高額で販売するのだ。

アップルのエコシステムにおける“サーヴィス”には、「iTunes」「Apple Pay」「App Store」などが含まれ、売上高や利益のかなりの割合を占めるとみられている。アップルはサーヴィス分野については決算でより詳細な数字を公表していく方針だ。

それでは、次に地域ごとの業績を見てみよう。米国と欧州連合(EU)域内の国内総生産(GDP)の高い国ではシェアを伸ばしたが、中国のほか、ナイジェリア、インドといった発展途上国では、横ばいか落ち込んでいる。一方で、利益は(少なくとも決算報告から読み取れる限りでは)どの地域でも大きく拡大した。

スマートフォンは世界的に見ても、電気と同じくらい当たり前のものとなりつつある。拡大する中間層は、いつかはタブレット端末や何らかのコンピューターを購入するだろう。

こうしたなか、アップルはウォルマートやヒュンダイではなく、ティファニーやメルセデス・ベンツと同じ地位を獲得しようとしている。つまり、アップル製品を求める消費者にとってはブランド、デザイン、機能といったものはすべて一体で、価格もある程度は高いほうがむしろ魅力的なのだ。
https://wired.jp/2018/11/07/apple-abandons-mass-market/

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